国立大学法人 和歌山大学

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生涯学習ニュース46号 トップ 巻頭言



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「攻め」の社会教育の推進と生涯学習・地域連携系センター

浅野秀重
金沢大学・全国国立大学生涯学習系センター研究協議会会長


浅野秀重(金沢大学・全国国立大学生涯学習系センター研究協議会会長)

「教えるとは ともに 希望を語ること 学ぶとは 誠実 を胸に刻むこと」 これは,大島博光氏の翻訳による,フランスの詩人 ルイ アラゴンのストラスブール大学の歌の一節で,筆者が大学に入学したとき,上級学年の方が語っていた言葉である。

希望を語る営みとして「教育」を,誠実を胸に刻む営みを「学習」としてとらえた時,教えることは教える側の者と教えられる側の者との間で,その立場を超えて,未来を語り合いともに高まり合う行為が「教え合う」ことであり,他方自主的な営みとしての「学び」は,真理や真実を探求するということを目指しながら取り組んだ主体的な「学び」によって,知ることのできたことや把握することのできた真理や真実の前では,謙虚でなければならない,というようにとらえることなのではないだろうか。

さて,社会教育法は,学校の教育課程として行われる教育活動を除いた「主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動」を「社会教育」として概念規定しているが,社会における教育活動を概観したとき,誤解を恐れずに言えば,学校教育の主たる対象が青少年だとすれば,社会教育の主たる対象は成人であると言うことができると考える。社会教育は,励まし合い学び合いの自己教育活動と言われることもあるが,教育活動であるのならば,やはり教育の目的の達成が求められる。ではこの教育の目的とは何だろう。現行教育基本法は,2006(平成18)年に制定されたが,同条第1項には,「国家及び社会の形成者」が掲げられ,この形成者には,英文の旧教育基本法では,「builder」という単語が充てられていた。言い換えれば,「国家社会の担い手」を育てること,それが教育の重要な目的としてとらえたいと思う。

こんにち,地域創生,地方創生が唱道されている。魅力的で活力ある地域づくりを進めていく上で,その担い手としての地域住民に期待されることには大なるものがあろう。もちろん行政は行政としての役割を果たさなければならないが,住民が自ら住み暮らし生活する基盤としての地域を見る,視る,観る,覧る,診る眼や心,頭を持つことが,住民自身が地域づくりを担う上での基盤になるものと考える。そうした眼,心,頭を育てる営みとしての意図的な,「攻め」の社会教育,成人教育の推進が重要になるものと思われる。

ところで,和歌山大学地域連携・生涯学習センターも,金沢大学地域連携推進センターもセンター名の変更やミッションの拡がりを経ながら,さらに地域における学習と活動の拠点たるサテライトを活用するとともに「学び」の機会の提供や地域の皆さんとの学び合い,連携,協働(慟)を通じて地域課題の解決や地域の活性化に,そして地域の魅力,地域の「良さ」の発掘,発信に取り組んできた。それこそ,地道にコツコツと。

そうした国立大学のセンターで「生涯学習系センター研究協議会」を組織し,それぞれのセンターの取り組みや各大学の中におけるセンターの果たす役割,大学の「知」を活かした地域連携や社会貢献について研究や協議を進めこんにちに至っている。和歌山大学の地域連携・生涯学習センターには,研究協議会の事務局を担っていただいている。

地域住民の問題意識を持った学習が,住民の自治意識の向上に寄与し,そうした継続的な営みによる学びの成果を活かす取り組みが,地域づくりやまちづくりである。改めて,佐藤一子氏が言うように,社会における学びが,地域社会の担い手育てとなるとともに,社会を創る学びとなるということに確信を抱き,地域における「攻め」の社会教育活動のより一層の推進に,センター間が連携・協働し合いながら努めていきたいものである。